第56回中央委員会 〈付属決議〉
 組合員への訴え



 全国検数労連は、2005年2月3日東京都大田区蒲田で第56回中央委員会を開催しました。会議では、同労連傘下の全日検神戸支部労が1月30日、検数労連脱退を決定したことを受け、組合員への訴えとこの間の経過報告を発表しました。

 組合員のみなさん!

 全国の仲間のみなさん、全日検神戸支部労(以下、神戸支部労)が「神戸支部労の争議を支援しなかった」ことを理由に、1月30日の支部臨時大会で検数労連から脱退することを決定しました。全国検数労連第56回中央委員会は、全国の仲間のみなさんが、検数労連の歴史的にはたしてきた積極的な役割に確信をもち、職場・地域からの団結と全国的な統一闘争で検数経営の民主的改善、規制緩和や民営化にむかって、共に歩むことを訴えます。

 いま職場では、「生活が苦しい」「人員不足で仕事が忙しい」「技能の継承ができない」「検数の将来はどうなるのか」など、不安でいっぱいです。

 コンテナ化と情報通信技術の発展にともない、検数・検査事業の市場はこの10年間だけで3分の1に縮小するなど、検数労働者の生活危機と将来不安を深刻にしています。また、規制緩和や公益法人の見直し、港湾の24時間・365日稼働など、私たちの働き方まで国家が関与してくる時代となっています。

 検数労連は、検数労働者の将来不安を解消し、生活と雇用を守るために、@中期的方針として、国民的にはたしている港湾の「安全・安心チェック機能」の強化運動のなかで検査機関の事業基盤を強化する A直面する経営財政の悪化については、経営環境の改善と経営民主化を追及しています。 
 
 いま、私たちの「提案型運動」のなかで、コンテナインスペクション、穀物検査、損保査定業務など、新しい検査業務が検数・検定事業者の連携・業務提携などを通じて営業ベースにのりはじめています。
 また、検数・検定4協会との業種別労使協定を厚労省に認めさせ、検数・検量・鑑定業務にたいする一般派遣労働者の参入も阻止しています。

 検数両協会の事業収入の減少にともなう「収支改善施策」にたいしては、事業収入に占める人件費比率が80〜90%を占めることを直視して、地域・職場から「仕事と収入の確保」運動を展開し、職場の知恵を総結集した運動と経営責任の追及をとりくんでいます。
 
 日検協会にたいしては、労使合意により暫定的な賃金カット・労働条件の見直しを行う一方で、「労使点検委員会」を中央・地域に設置して経営施策の進捗状況と経営責任を追及することとあわせて、地域・職場に「労使業務委員会」を設置して提案型運動を展開するなかで累積赤字を解消させています。
 
 しかし、全検協会にたいしては、神戸支部労の独自路線の固執など検数労連内の方針上の不一致から、労働者犠牲の経営施策の強行を許す残念な結果となっています。
 


 全検協会対策に関する不統一の真相

 神戸支部労が脱退理由にしている1999年3月2日付けで全検協会から提案された「支部独立採算的運営」を基本にした「3.2提案」(本給カット・労基法を上回る労働条件の見直しと廃止・一時帰休制度の導入)にたいする検数労連組織内の不統一の要因は、神戸支部労の全国統一を無視した「独自路線」の強行によるものです。検数労連は「3.2提案」について、全検7労組各支部委員長と全検出身中執で「全検対策委員会」を設置し、全検協会に中央交渉を認めさせ、「全国企業運営、全国統一労働条件」を基本に収支改善協議にはいることを確認して中央交渉をすすめてきました。また、全検協会が協定破棄をして強行する場合には、検数労連中央が第3者機関への申し立てをふくめて対応することを確認し、荒井中央副委員長が責任者になって交渉の節目節目で弁護士と相談をしてきました。

 「3.2提案」は当初から、本給カットは神戸支部、一時帰休は北陸支部に予定されていることが当該支部労組からも報告され、「全国的に一定の賃金カットをうけ、そのうえで支部収支問題に対応する」ことが意思統一され中央での弁護士対策になったものです。
 
 全検対策会議は、半年間に10数回の交渉を重ねるなかで、全検協会の置かれた状況について一定の理解ができたとして、「具体的な協議にはいる」ことを意思統一しました。
 
 全検対策会議の責任者は、当時7労組議長であった神戸支部労委員長であり、弁護士対策の責任者も神戸支部労出身の中央副委員長です。

 しかし、神戸支部労は、全検対策委員会の方針に反対して「収支改善協議にはいるべきでない」「支部労は裁判闘争で経営責任を追及する」と方針転換し、神戸支部労出身の中央副委員長を一方的に「召還」して「暫定協定」も、その後の2次にわたる賃金カット問題や一時帰休についても、検数労連中央や全検部会の関与した労使交渉を拒否し、自ら「支部独自課題」の選択をして裁判闘争を前提にたたかいを組み立て、全国統一対応を困難にしました。

 「賃金50%カット」をめぐっては、4月実施前の3月初旬に、神戸支部労委員長、神戸支部職組委員長、検数労連鈴木中央委員長の3者が共同して申し入れた全検協会会長との局面打開にむけたトップ交渉も、直前に神戸支部労委員長の都合で中止となり、彼らの既定方針に沿って裁判闘争に持ち込まれたものです。

 神戸支部労にたいする「3権委譲」は、中央協定を無視し、しかも、中央協定に関わる問題で、3権をもたない神戸支部労が中央が知らぬ間にスト通告をしたことから、協会の弾圧を防止するために「労組法」上の手続きをとったのが事実経過です。
 
 2000年9月の検数労連定期大会で、当時の支部労委員長は「暫定運用協定は締結する」「神戸支部労の7.1見解(労連中央運営と7労組否定)は取り下げる」「組織的混乱を招いたことに全国の仲間に謝罪をする」と表明しました。しかし、収支改善問題については、神戸支部労の独自路線堅持から「各支部対応」とならざるを得なかったものです。

 全検協会の財政の使われ方、経営責任については、事業収入の32億円(−13%)の大幅な落ち込みと貸し渋りを背景に98年冬の一時金で「25万円」回答がでた際、全検関係のすべての労組が共同して経営内容を明らかにするよう追及することを検数合同会議で意思統一して収拾しました。しかし、神戸支部労は、当時の中央委員会で神戸支部労出身の山田中央副委員長の召還を表明し、7労組議長組合として関係組合との調整をできなくしてしまい、全検協会が任意積立金30億円の取り崩しで債務を処理することも事前に追及できませんでした。

 労使協定の当事者が協定に責任を負わないことは、協定の放棄、ひいては労使交渉の当事者責任の放棄につながります。検数労連は、全検協会の「賃金・労働条件は支部交渉」の提案がされているなかで、職能別中央集団交渉を維持する立場を堅持したうえで、神戸支部労の独自路線についても尊重する立場から中央協定に関する「3権」を神戸支部労に委譲して支部交渉権を保障し、裁判闘争については中央機関会議の決定にもとづき全国的に支援や署名をひろげ、支援共闘を立ち上げるための全労連や中央単産への呼びかけを行い、国交省交渉や全検協会と支援共闘との交渉設定など、側面から支えてきました。

 第2次裁判の「仲介案」については、荒井神戸支部労委員長、支援連代表とも協議のうえに立って、自主解決にむけて「交渉テーブルをつくる」ことを目的に、「白紙撤回」「協会の謝罪」を前提に、神戸支部労が決裂する直前に対案として主張した「20%カット、一時帰休者への希望退職募集」をベースに、「離職でなく雇用確保」をはかる立場から提起したものです。しかし、第1次判決で「西日本マリンへの移籍は代替え措置にならない」となっているので組合員の理解を得られないとして『廃案』としたものです。




 全検協会に働く組合員のみなさん!

 全検協会がこの4月から「第三次事業基盤確立3ヶ年計画」を企画しているいまこそ、全国の多くの仲間の支援をうけて勝ちとった支部労の「和解条件(賃金15%カット・自宅待機撤回)」を、全検協会に関するすべての労働組合の『財産』にして、全検協会にたいする全国統一要求を組織し、これまでのしがらみをこえて大同団結することが全国の仲間から求められています。この戦線構築こそ、支援していただいた全国の多くの仲間に応えることではないでしょうか。神戸支部労の検数労連脱退は、こうした多くの仲間の期待を裏切り、全検企業対策に新たな困難をもたらすことになります。


 すべての労働者の”団結と統一”を!

 全国検数労連第56回中央委員会は、神戸支部労のこれまでの経緯を明らかにするとともに、全検に働くすべての検数労働者の団結と統一強化にむけ次のことを決議します。

1.全検神戸支部労のこれまでの行動は、検数労連規約に「統制」規定がないことを利用して、検数労連中央方針や中央労使協定を無視して、全検にかかわる労働者・労働組合の団結と全国統一を阻害し、全検協会が「支部独立採算的運営」を強行することを結果的に助長する役割をはたした。

2.検数労連は、全検協会に関わるすべての労働者・労働組合の統一と共同にむけ奮闘する。


 以上、決議する。

  2005年2月3日

                     全国検数労働組合連合
                      第56回中央委員会