「被害者にも、加害者にもならない」

平和の海と港こそ私たちの職場です


憲法改悪に反対する海員・全国港湾の共同アピール

1.  2006年は、日本国憲法が誕生して60年を迎えます。この60年の間、日本社会に生きてきた人びとは、この平和憲法のもと戦争によって殺すことも殺されることもなく、また、子どもたちが兵士に取られる心配もなく生きてきました。平和憲法の精神は、わが国に生きるすべての人びとに深く浸透しています。

 しかし、平和憲法のもとにあっても、海員は世界で頻発する戦火をくぐり、尊い命を失う悲劇を経験してきました。港湾労働者もまた、朝鮮戦争に駆りだされ、ベトナム戦争に協力させられるという実体験をもっています。だからこそ、2度と戦争体制に組み込まれたくないという思い、平和への希望は切実です。


2.  海員・全国港湾は、戦争放棄を明記し基本的人権や国民主権など人類にとって普遍的な価値が込められた憲法の改悪に断固として反対します。

 昨年、自民党は自衛隊を自衛軍とするなど9条を軸にした憲法「改正案」を発表しました。さらに小泉首相は、先の通常国会冒頭の施政方針演説のなかで、国民投票法案を「整備されるべきもの」と明言しました。このことは、憲法改悪への歩みを具体的に進めるものです。

3.  海員・全国港湾は、先の一連の有事法制審議・成立の過程では、自らの悲惨な戦争体験をもとに命と職場の安全を守る観点から、共同して反対しその廃案を強く訴えてきました。

 そして今、米軍基地を抱える自治体が一斉に反発を強めている在日米軍再編計画は自衛隊と米軍との連携強化を目指すものであり、国民的な不安と危惧を生じさせるものです。これらの動きをみるとき、まさしく憲法改悪は、有事法制の発動に道を開くものです。

4.  私たちは、平和憲法の改悪に反対します。むしろ、今こそ平和憲法を高く掲げ、アジアや世界中に広げ、生かすときと考えます。「戦火の海に船員は2度と行かない」と誓って結成した海員組合と、「軍事荷役はやらない」と決意する全国港湾は、陸・海・空・港湾労組20団体をはじめ、ナショナルセンターの違いを超えてすべての労働組合、宗教者や市民団体、学生、弁護士団体、婦人団体など国民各層のあらゆる団体と憲法改悪反対の一点で共同し、平和憲法を守りぬくことを呼びかけます。


2006年2月3日
全 日 本 海 員 組 合
全国港湾労働組合協議会