第11回 東アジア港湾労働者会議

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 今、会議では日本、韓国、台湾、オブ参加としてI L W U(国際港湾倉庫労組/アメリカ)、香港倉庫運輸物流員工協会(H K S T L A)の各国の港湾で働く仲間の代表が集まってそれぞれの国の港湾の情勢等を報告し合い、交流を深めてきました。

 会議の内容として、次の報告が上げられています。
@台湾港湾労組ヤン委員長が開会を宣言し、歓迎の挨拶を行いました。
A台湾労働院オー・ハ−シェン主任委員が台湾で開催される会議を歓迎する挨拶を述べた。氏は、台湾港湾労組が国際社会に参加することの素晴らしさを強調し、台湾港湾労組に敬意を表しました。そして、港湾労働者は国家の発展を支える役割を持っており、とりわけ島国である台湾にとって重要であるとの考えを表明しました。また、世界的経済危機にあって経済発展の鍵は港湾にあるとも言えるので、港湾労組の発展を祈念すると述べました。

 全国港湾を代表して、糸谷副委員長が11回会議にあたって次の通り挨拶をしました。
@世界の物流がアジアに集中することを見通して、14年前にこの会議が発足し、以来、交流と連帯の絆を強めてきた。
 10回を記念する昨年の神戸会議で全国港湾として共通の船社・荷主に対応する会議として発展させようと提起し意思統一した。したがって、第2・第3段階へと発展させなければならない。情報交換・連帯強化の取組みは成果を収めつつあり、もう一歩前に進む必要がある。そのことを、この会議で模索していただきたい。
A海コンの積み付け、横転事故の問題も国際的な問題であることから、I T F本部・地域だけの会議ではなく、この場でも提起し続け、ようやくI L Oの場でも論議が始まろうとしている。日本国内でもいよいよ法律による規制の動きが始まった。あらためて、感謝したい。
 
 各国港湾の実態について報告を行い、全体の意思統一を図りました。
 日本の報告は、提出資料に加え、@経済危機の中で港湾労働者の賃金が時間外に依存していることの矛盾が噴出したこと、A船社のコンソーシアムの再編が始まっており、雇用を確保する取組が重要になっていること、B本船荷役の不具合による事故の多発への安全活動の徹底とP S C強化の取組みの強化、C国際港湾資本・海運資本に共同して対応して行くべきことを強調しました。
 韓国では、北朝鮮の核問題もあるが、港湾の足元では非正規雇用の拡大と組織化の課題が重要になっていることを強調しました。また、釜山新港は労働条件・賃金の問題が争点になっているとの報告がありました。
 I L W Uは、アメリカが1929年に経済危機になった時以来「労働協約の締結と順守を徹底した」ことを報告し、もう一度その事が問われていると強調しました。港湾労働者のおかげで大儲けしてきた港湾・海運資本が、今になって労働条件を切り下げてくれ言ってくるのは通らない。我々の回答は「協約通りやれ」である。アメリカの港湾取り扱い量は40%ダウンだが、貨物は世界中を動いているのでI T Fレベルで考えれば戦術はある。組合の組織の連帯があるのだと強調しました。
 香港は、ハッチソンのリストラ「合理化」を26名にとどめたことを紹介した。企業幹部は月2日の無給休暇、上級幹部は5%の賃金カットであるとの報告がされました。 
 台湾は、失業率が6%に上昇する雇用情勢の中で、依然として組合事務所の取り壊し問題とコンテナターミナルでの就労権保障が重要課題であると報告した。規制緩和後の港湾はダンピングと港間競争の激化が深刻で、コンテナ料金では、基隆港150ドル、台中港75ドル、高雄港50ドルといった差がある。これは港湾労働者の賃金ではないが、これだけのコスト競争をしているということで、労働者へのしわ寄せが分かる。規制緩和前後でいえば、賃金は30%ダウン、シフトは3直から2直で長時間労働と規制緩和労働者に何をもたらすのかハッキリしていると述べました。
 各国港湾の報告と討議を踏まえて、会議は台湾港湾労組に対する支援の決議を採択しました。
 また、会議参加者は高雄港の視察もおこなっています。高雄港は、規制緩和によって港湾労働組合が潰されたところで、国際的な代表団の訪問で台湾港湾労組の存在感をアピールしました。また、花蓮港、蘇墺港、基隆港の各港は規制緩和の中で組合を維持し闘っているところで、会議参加者は各組合を励まし、共に連帯する意思統一を図りました。
 基隆港では、同市の帳市長との懇談会が行われました。市長は港湾労組とのパートナーシップを強調しました。