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委 員 長 挨 拶 |
1. |
昨日からの全日検部会や日検労大会に引き続いての参加、ご苦労さまです。また、来賓の皆様にはご多忙のなか、私どもの大会に激励のため駆けつけていただき組織を代表して御礼申し上げます。後ほど、ご挨拶を賜りたいと思います。
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2. |
いま、社会は大きく動いています。先の総選挙で、国民は自公政権に審判を下し、政権交代を実現しました。アメリカではアメリカによる一国覇権主義が破綻して国際協調を掲げるオバマ政権が誕生しました。鳩山新首相は、初の国際舞台である気候変動サミットで、日本の温室効果ガスの排出を2020年までに1990年比で25%削減する方針を国際公約として誓約するなど、地球温暖化対策で積極的なイニシアチブを表明しています。いっぽう、オバマ大統領は、地球上で唯一、原爆を使用し、世界の憲法として各地で戦争を引き起こしてきた歴代政権の政策を転換し、”核兵器のない世界“を呼びかけるなど、核兵器廃絶にむけたイニシアチブを発揮しています。
こうした地殻変動ともいえる状況は、諸国民のたゆまぬ運動の積み重ねのうえに誕生したものであり、偶発的に出来たものではありません。この、社会変革の推進力を担っているが組織された労働組合であり、労働者です。いま、労働運動に求められている最大の課題は、一緒にたたかう仲間を増やし拡げることです。つまり組織の拡大です。
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3. |
こうした労働組合の歴史的事業に、神戸、大阪に次いで名古屋と九州で、日検労の仲間が指定事業体の労働者に呼びかけ、30〜50名規模で労働組合を結成するという成果を収めました。名古屋支部と九州支部の皆さんの健闘を、皆さんの拍手で称えたいと思います。拍手をお願いします。
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4. |
さて、民主党を中心とする政権が誕生しました。国民いじめの自公政権に対する国民の怒りと反発が、政権交代を求めたのであって、民主党の政策が支持されたわけではありません。むしろ、民主党の財政政策については、国民の8割以上が不安を抱いていることが選挙期間中の世論調査でも明らかになっています。
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5. |
自公政権のもとで、大企業は非正規雇用や下請けいじめなど労働者と中小企業を犠牲にして史上最高益を謳歌してきました。いっぽう、後期高齢者医療制度や年金改悪などの社会保障の切り捨て、労働者派遣法の改悪、非正規雇用の拡大による不安定な労働市場など、政治によって社会のセーフティーネットが破壊され、国民生活は深刻なじたいに直面しています。
民主党を中心とする政権が、こうした異常な日本社会を生み出した政治から、国民の願いに応える政治・経済に転換できるかどうか、主権者として検証していかなければなりません。同時に、国民が選択した政治状況を有利に活用して行くためには私たち労働者・国民の要求を掲げて、政治に反映させる国民的共同に積極的に参加していくことが重要になっています。
そのことはまた、国民本位の政治の流れを前進させる力になります。来年は、参議院選挙もあります。歴史を前に進めるために、おおいに奮闘しましょう。
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6. |
民主党の政策(マニフェスト)のなかに国民的に受け入れられない内容を抱えながらもスタートした鳩山政権は、自公政権と違いを際立たせるために、当面、国民に目を向けた政策の実行を推進しようとしています。交通運輸関係では、懸案になっている次の課題について、実現に向けた可能性がひらかれています。
@「海上コンテナ安全輸送法( 仮称)」のとっかかりになる法案の制定が期待されます。
このたび国土交通大臣になった民主党の前原議員を中心に、先の通常国会に議員立法として提出するところまで準備が進んでいました。民主党は政権与党として「議員立法の提出は禁止」の党議決定をしましたので、政府法案として提出させることが出来るかどうかがおきな運動課題となります。
A国鉄分割民営化で解雇された1047名の政治解決が期待されます。
JR不採用問題は、すでに23年目に入っています。国家的不当労働行為であったことは、これまでの各地の地方労働委員会や裁判でも明らかなっています。国鉄分割民営化を推進した当時の中曽根首相も、NHKのインタビューで「国労解体が最大の目的」だったことを公言しています。ILOからも再三にわたって、日本政府が解決に役割を果たすよう勧告が出されています。JR不採用問題は、政治が解決する以外に道はありません。鳩山首相も当時の民主党幹事長として、争議団の集会で「政治による解決」を決意表明しています。新しい政治体制になったチャンスに、JR不採用問題を解決するために、検数労連も力をつくしていきたいと思いますので、各地区においても要請があったら全面的な支援と協力をお願いします。
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7. |
港湾でも、検数でも、労働組合の組織的力量の強化が求められています。
国際物流は2015年のアセアンの経済統合(EUのような市場統合)に向けて、国境も、税関チェックもない“継ぎ目のない物流”を目指して動いています。日本政府も、東アジア圏の“国際物流コストを半減”させることを目指して「アジアゲートウェイ構想」を打ち出し、実証実験を推進しています。
また、アジア経済の発展に伴い、アジアの東の端っこに位置する日本の相対的地位も低下しています。とりわけ、この経済不況における日本の輸出産業の低迷により、アメリカ向けのアジア発貨物に占めるシェアは、中国積が6割以上を占め、日本積みシェアは4%代に落ち込み、韓国・台湾に抜かれ、ベトナムにも追いつかれようとしています。まさに日本は、アジアにおけるローカルポートになりつつあります。今年に入り、一部の船社では、欧米向けの日本寄港サービスを取りやめるところも出ています。直行便の休止だけではなく、基幹航路に接続するための、中国の主要港と日本をつなぐ専用フィーダー便も廃止し、日本を素通りする傾向も出てきています。
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8. |
こうした大きな変化に対応していくには、労働組合としての政策を持つことも大事ですが、もっとも大事なことは、労働組合の全国組織、産業別労使関係、団体交渉権の力を強めることであり、労働者の連帯した力を大きくすることです。
規制緩和で新規参入しようとした秋田港における能代運輸の2年前の闘いは、運輸局に許可を出さない政治色の濃い闘いにもかかわらず、政治ストとして弾圧されることなく、全国の港で一斉に2時間の時限ストが打てたのも、産別協定違反(「港湾運送事業乱し、港湾労働者を犠牲にする規制緩和・新規参入反対」)として、日港協相手にスト通告をして闘ったからなのです。
この4月の尾道糸崎闘争は、真の敵は伊藤忠ちお東亜林業という商社・荷主に対する闘いでしたが、私たちは09春闘中央港湾団交で合意した協定書の第1項「港湾労働者の雇用と就労の確保」に関する“協定の不履行”だと位置づけることによって、日港協相手にスト通告」をして、合法的に全国ストを打てる環境つくり、荷主の横暴うぃお撤回させ、雇用を守るとが出来たのです。
7月の秋田港における能代運輸の既存労働者の仕事を横取りすることにたいする闘いも「港湾運送秩序の維持、港湾労働の安定」という産別協定を武器に、作業阻止行動を構えて、秋田港における集団的労使協議体制の確立を取り付けることが出来たのです。
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9. |
このように、港湾労働者の雇用を守る重要な力になったのが、全国港湾と日本港運協会との団体交渉権であり、産別協定、産別労働協約です。
港湾の産別中央団交で、検数労連の職能別団交で、関係労使がお互いに知恵を出し合い、産別・職能別・企業内のそれぞれの労働協約で雇用や職域を確保して行く。港運料金たたきにたいしては産業別・業種別賃金制度を作って、社会的な歯止めをかけていく、こうした労使の社会的な力をつけていくことが、これから生き残っていくうえで最大の武器になります。
こうした観点から全国港湾は、労組法上の労働協約権をもった連合体組織に発展したのです。さらには、港湾・会員労働者が多国籍資本や国家の攻撃にたいして、共通することを目指して、この11月24日には、全国港湾・海員組合・港運同盟で「海港労協」(海員港湾労働組合協議会)という協議体を結成する準備も進んでいます。
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10. |
日検労における指定事業体の労働者の組織化というのは、実は大変な意味合いをもっていることを、この大会の論議を通じて皆さんと一緒に確認しあいたいと思います。
「100年に一度」と言われるような世界規模の経済不況のもとで、輸出は4割も減少しています。日検協会で言えば、東京・横浜の二つの支部に相当する収入が忽然(こつぜん)と消えてしまった状態です。戦後の混乱期を除けば、私たちの親も、おじいちゃんも経験したことのないような大変な事態に直面しているのです。
検数両協会の支出は、指定事業体への支払いを含めると、9割が人件費です。両協会も、さすがに「非常事態宣言」を出していますけれども、この経営危機を乗り切るには、誰がみても人件費を減らすしか手立てがないわけです。
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11. |
いっぽう、輸出産業の自動車や電気関連の大企業では、この不況を理由に、即座に、契約社員や派遣社員など、下請関連労働者の契約打ち切りを強行し、寮からも追い出してしましました。真冬の寒風の中、路頭の迷う労働者を救済するための派遣村が全国各地で設置され、社会問題になりました。しかも、対応する大企業の労組は、正規職員のためには仕方がないとして黙認しているのです。
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12. |
しかし、検数労連は違います。労働者にたいする“思いやり”をもった組織です。検数労連の組合員は、一日7時間フルに働くほど仕事もなく、3・4時間の半端仕事で、時間外労働もほとんどなくなり、月数万円もの収入が減っているにもかかわらず、雇用形態は違っても、現場で一緒に働いている労働者、つまり指定事業体の労働者の雇用不安や生活の不安を解消するために手を差し伸べようということを組織方針としています。それを日検労の仲間は実践し、日本の労働運動のなかでも誇るべき快挙を成し遂げているのです。
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13. |
ここで強調したいのは、指定事業体の労働者の組織化は、単なる“お助けマン”ではないということです。検数労働者が自らの仕事と職場を守るためにも重要なことなのです。
検数の仕事は、従来のような本船上での受け渡し業務は少なくなり、大半がコンテナターミナルや物流倉庫など、お得意さんの見ている前での業務が主力となっていきます。つまり、一人ひとりの職員が、ちゃんとした仕事を提供して、その仕事ぶりが商品としてどう評価されるかどうかが問われる環境におかれているのです。
“よい仕事をする”ということは、ユーザーから“信頼される仕事”“任せられる仕事”を提供することなのです。個々人にとっては“納得のいく仕事をする”ということであり、仕事を通じてそれぞれの人格を形成していくことでもあるのです。
こうした仕事を提供するためには、正規職員だけではなく、指定事業体の労働者も分け隔てなく“技能の向上”をはかり、常日頃から“仕事の見直し”を労使の垣根を越えて取り組んでいくような企業体質に改善していくことがますます求められているのです。
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14. |
検数両協会は「非常事態宣言」のもとで、「聖域なし支出削減」や「役職者が中心になって従業員との懇談」を打ち出しています。しかし、両協会とも、“本部の支持ち”や“事なかれ主義”の体質はいっこうに改善されていません。
両協会とも、“公益法人”から“営利法人”に転換すべく申請をしています。引き続き“株主配当”方式ではなく、収益は従業員に還元されるシステムが維持されます。つまり、従業員の生活は、従業員の働き様と収入の確保にかかっているのです。役職者の意識が低いとか、能力がないと批判ばかりしても、自分たちが不幸になるだけです。
この不況期は、むしろどんなことにも対応できる人材と技能を磨き、両協会の経営体質を変え、筋肉質の企業体にするチャンスでもあります。また、そうしなければなりません。それには、今まで“忙しい”“人が足りない”としておろそかにしていた「業務継承」「職場懇談会」を役職者が中心となって企画するよう、労働組合の地域・職場運動として位置づけ、粘り強く追求して行くことが重要です。そういう意味では、日検労横浜支部の青年部が、臨時総会を開催して“仕事を覚えたい”“技能を身に付けたい”“研修をしてほしい”ということを意思統一したということは、青年の素直な要求であり、力強いことです。 |
15. |
この「100年に一度」のピンチを、地球・職場から技能を持った人材を育成し、職場に働くすべての労働者を対象に組織化をはかるなど、組織の力をつけるために奮闘しましょう。
以上 |