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これでいいのか水際のチェック

検数・検定部会がシンポジウム開催








 全国港湾(全国港湾労働組合協議会)検数・検定部会は5月8日に東京・大田区産業プラザで「これでいいのか水際のチェック」と題してシンポジウムを開催、関係組合員等約80人が参加しました。
 すでに日本の食糧自給率が40パーセントまで低下し消費者、市民団体などから輸入食品の安全性が厳しく問われていること、テロ対策や有害危険物への安全対策など、水際でのチェック機能の充実がきわめて重要になっているとして、同部会では問題提起と国民的な世論づくりの礎としたいとしています。
 シンポジウムでは、パネラーとして国土交通省の泉田裕彦・貨物流通システム高度化推進調整官が「情報革命下の運輸セキュリティと物流効率化の統合」と題して、厚生労働省の磯貝達裕・輸入食品安全対策室担当官は「輸入食品検査の現状と取り組み」について講演を行いました。





 泉田氏は、『世界貿易の90パーセントはコンテナ貨物として流通しており、「9.11テロ」以降、米国は「大量破壊兵器(炭疽菌、核兵器等)がコンテナで持ち込まれるリスクが大」として、CSI(Container Security Initiative)等制度対応を急速に強めており、日本へも協力をもとめている。今日の電子技術等の発展の下で「運輸セキュリテイの向上のためには、電子化と標準化がポイントになる。その際、新システムを円滑に普及させるためには、物流効率化を達成して、投資コストが回収できることが重要である。
 米国は現在、国際機関等を通じて標準化作業に注力。日本に協力を求める可能性もある』と強調しています。





 磯貝氏は、わが国の食糧自給率や輸入食品の届出件数・重量等の推移に触れ、80年代後半より輸入重量があまり変化していないのに、届出件数が急増していること。これは従来あまりなかった加工食品の輸入が増えていることを意味するのではないかと指摘されています。またBSE問題や偽装表示問題などを契機とする、食品の安全に対する国民の不安や不信の高まりから、食品衛生法等の改正が行われようとしており、改正案の視点について報告が行われました。






 この他に、農民連食品分析センターの石黒昌孝所長から、輸入「ホウレン草製品」や「枝豆」などの分析結果をもとに、基準値を超えた残留農薬の実態がなまなましく報告され、港湾での公的な検査機関の役割など問題提起が行われました。
 検数労連 福田書記長(検数・検定部会事務局担当)は、全国港湾として産業廃棄物・社会悪物品などの不法輸出入の防止策、盗難車不正輸出の防止策や港湾におけるテロ未然防止やチェック機能強化など、これまでに関係行政や団体に申し入れ、交渉を行ってきた経過、取り組みについて報告を行いました。
 会場からは、海上コンテナが内容物についてドライバー・運送事業者にも知らされないまま、港湾を素通りし横転事故などを起こしている危険な実態と、「海上コンテナ安全運送法(仮称)」の早期制定の必要性など、活発な討論が行われました。