大 会 宣 言


 

 第2次小泉内閣がスタートした。この内閣は戦後58年を経た日本の有り様を大きく変えようとしている。イラクでの侵略戦争と占領下で、孤立を深めるアメリカに日本だけが付き従い、気前よく多額の資金を拠出した上、「殺すかもしれないし、殺されるかもしれない(小泉首相)」自衛隊をイラクに派遣しようとしている。日本を戦後から「戦前」に変えるものである。

 経済面では、産業再生法で大企業のリストラを支援し、5l台で高止まりしている失業率と、未曾有の企業倒産をしり目に「構造改革」が進んでいる証拠とうそぶいている。 さらに昨年の本人3割負担などの医療改悪に続いて、年金制度の大改悪、消費税の大増税が行われようとしている。労働者・国民は生活不安と雇用不安、さらに老後の生活と社会保障など将来不安の3つの不安に落としいれられている。小泉内閣は過去どの内閣もなしえなかった憲法改悪を視野にいれ、2〜3年後に実現すべくその布陣を敷いてきた。

 一方、米・英国のイラク戦争開始前から「イラク攻撃反対」「戦争するな」「平和を守れ」の声と運動が、全世界から空前の規模でわき起こった。わたし達も陸・海・空・港湾労組20団体に結集し、数次にわたって国民的な大集会を成功させた。今年11月にたたかわれる総選挙は、日本の政治、経済、外交等々の転換を求める絶好の機会である。わたしたちは小泉自民・公明連立与党に明確な審判を下すべくたたかうことを決意した。

 わたしたち全国検数労連は今年結成30周年をむかえ、この大会は多くの来賓や諸先輩方を迎えて記念式典を成功させ、新たなスタートを切った大会でもあった。港運事業では国際競争と規制緩和のもとで「より早く、より安く、より高いサービス」が求められ、弱肉強食の競争と港湾労働者に対する雇用、賃金、労働条件の悪化が懸念されている。わたしたちは職場を基礎に、産別統一闘争の強化と地域の多くの労働組合との共同闘争を強める決意を行った。

 検数の職場は、仕事と収入の減少に歯止めがかからず厳しい事態に置かれている。検数両協会は、賃金切り下げをはじめ「合理化」を提案し、全日検神戸支部では「人員整理」に等しい一時帰休や新賃金を一方的に強行し、第二次訴訟となっている。 経営責任を放棄して組合敵視、働くルールを破壊する暴挙に抗議するとともに、労使間の正常化と労使協議による経営改善協議、安心して働けるルールを確立することを求めるものである。

 検数の事業基盤確立と安定した雇用・労働条件を確保していく上で、労働組合自ら「仕事と収入の確保」運動を正面に据え、全国職場の隅々から全組合員の運動にしていくことの重要性が強調され、方針が確立された。

 新たな検数労連の歴史を切りひらくために、全国仲間の団結をさらに強化し全力をあげて奮闘するものである。
      右決議する。

2003 年10 月8 日


                全 国 検 数 労 働 組 合 連 合
                第35 回 定 期 全 国 大 会


    
                    


有事法制の発動を許さない
取り組みに関する特別決議


 

 小泉内閣は、米英軍のイラク攻撃に強い支持を表明し、有事関連三法案・イラク特措法案を強行採決した。検数労連は、小泉内閣の暴挙を断固として糾弾する。
 「戦争終結宣言」にもかかわらず、イラクは未だに全土で戦闘が繰り広げられ、市民の犠牲が続いている。国家間、あるいは民族間の紛争を、武力で解決することはできない。日本国憲法が武力による紛争解決を否定し、戦力を放棄したことの歴史的意義が再確認できる。

 有事法制は成立しても、発動させるためには幾多の法整備が必要といわれている。米軍を支援する法制、自衛隊を円滑に行動させる法制、国民の戦争協力を強要する「国民保護」法制などであり、秋の国会からも審議されようとしている。今後のたたかいこそ「戦争をする国」にさせない闘いの正念場といえる。

 有事法制は、米国の戦争に協力する体制を準備するものであり、日本を「戦争をする国」へと転換させるものである。小泉首相は、「憲法改正」への準備を政府関係者に指示したといわれている。憲法をねじ曲げて戦争体制を準備する一方で、平和憲法そのものまで変えようとしているのである。
 イラク戦争は、港湾都市ウムカッスルへの第一撃にはじまった。港湾と港湾労働者が最初の砲撃の対象となったのである。いざ戦争となれば、港湾は兵站基地となり、港湾労働者は従事命令、物資保管命令などによって戦争協力を強要されることになる。

 検数労連は、「被害者にも加害者にもならない」との決意のもとに、有事法制の具体化と発動を許さないために、この秋から次の取り組みを進める。

 第一に、職場で有事法制の学習・教宣活動を旺盛に行う。
 第二に、港湾管理者など関係者に地域港湾を通じて、港湾の軍事利用に反対し、戦争協力拒否の姿勢に立つよう申し入れ活動を行う。
 第三に、港湾をはじめ多くの労働組合、市民とともに有事法制反対・平和憲法擁護の一致点での共同の取り組みを中央・地域で展開する。

 以上、決議する

2003年10月8日
                全国検数労働組合連合 第35回定期全国大会