検数労連第40回定期大会を開催

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  冒頭、鈴木委員長のあいさつでは、国民生活を犠牲にした自公政権は行き詰っている。国民の世論と運動が政治を動かしている証として、この1年の運動を皆さんと一緒に取り組んで行く決意表明や、全国港湾の「連合体」化への参加の批准、未組織の組織化の具体的な「目標と計画」を立てて最重要課題として取り組もうなどの話がされました。
  
 
 
 大阪検数労連の上良さんからは、日検大阪支部の指定事業体である「大日産業株式会社」の労働組合結成までの経過や取り組みの特徴点を発言していただきました。今後、各地域での組織化を進めて行く上で、参考になられた事も多いかと思います。



 今大会において、検数労連伏木支部と東北検数労連の組織変更が承認されました。日検労伏木支部と日検労新潟支部が調整のうえ解散し、新たに日検労北陸東北支部を9月13日に結成しました。
 日検労北陸東北支部結成に伴い、9月21日に行われた東北検数労連の定期大会で日検労北陸東北支部の加盟を確認しました。よって、東北検数労連は全検東北支部労と日検労北陸東北支部で構成されることとなり、全国検数労連の規約は改正されました。

 
 

 大会では、一時金の取扱いについてや組織拡大、公益法人の見直し問題などさまざまな論議がされました。
 大会方針に基づく課題については、中執で論議を深めながら取り組みを進めていきます。

 今年度の基本3本柱として
@一時金の取扱いについて
 企業対策の取り組みを含めて、この1年間議論を進める。
A公益法人見直し問題
 職場に責任を持ち、仕事と収入の確保運動を進める。
B組合員の組織拡大
 日検:指定事業体の組合立ち上げ。
 全検:B職員の組織化のため、具体的に足を出す。







 2008年度中央執行委員会体制 


中央執行委員長   鈴木 新平(横 浜・日検)
副執行委員長 浪内 悦一(横 浜・全検)
沖原 勝治(九 州・日検)
書  記  長 北畑 良介(名古屋・日検)
書 記 次 長 石渡 周二(東 京・全検)
会 計 監 査 赤間 広巳(大 阪・日検)
木原 國博(九 州・全検)









 

委 員 長 挨 拶
1.  昨日からの全検部会や日検労大会に引き続いての参加ご苦労さまです。
また、来賓の皆さまにはご多用のなか、私どもの大会に激励のため駆けつけていただき、組織を代表して御礼申し上げます。後ほど、ご挨拶を賜りたいと思います。

2.  麻生内閣が誕生しました。安倍・福田と2代の内閣がそれぞれ1年足らずで政権を投げ出さざるを得ないほど、自公政権による国民を犠牲にした政治は行き詰まっています。私たち国民からみれば、国民の世論と運動が政治を動かしていることの証でもあります。ここに確信をもって、この1年の運動を皆さんと一緒に取り組んでいく決意を、まずもって表明いたします。

3.  併せて、冒頭に当たって、日検労の仲間が神戸に次いで大阪でも、指定事業体(「関連企業」の呼称を変更する)の労働者の組織化に成功し、労働組合を立ち上げるという画期的な成果を収めました。後ほど報告を受けますが、皆さんの拍手で大阪支部の皆さんの健闘を称(たた)え、ともに喜び合いたいと思います。

4.  議案書の運動方針の情勢をとらえる基調は、「政治によって私たちの苦難が生じている」ことを柱に据えています。そこで、私の挨拶の基調は、「組織づくり」をキーワードにしたお話をしたいと思います。
 それには、私たち検数労連が、全労連や交運共闘、全国港湾など、闘う仲間のなかに身を置いて、暮らしや政治の分野でも、交通運輸の分野でも、港湾産業の中でも、大企業本位の政治と正面から対峙し、共同した運動で新しい流れをつくりつつあることを共通の認識にする必要があります。

5.  政府の調査でも「生活が苦しい」と訴える国民が6割近くになっています。日本経済が、原油や食糧の急騰に直撃され、金融不安によっても脅かされている根本には、もともと弱肉強食の「構造改革」路線によって大企業の儲けだけを増やし、不安定雇用や負担増を国民に押し付けて暮らしを悪化させ、貧困と格差を拡大しているというユガミがあります。国内需要の6割を占める個人消費が落ち込んでいるために、日本経済は海外の動向に左右されやすい脆弱な構造になっているのです。

 先週の25日に8月の貿易統計速報が発表されました。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が26年ぶりに赤字になりました。日経新聞は、「モノやサービスの貿易で稼ぐ“輸出立国日本”に揺らぎが生じている」「貿易と投資の2本柱で稼いできた日本経済は体質の転換点を迎えたといえる」と報じています。

日本経済を立て直すには、経済政策の軸足を大企業から家計と内需に転換していくことが不可欠です。大企業の儲け最優先の政治を正さなければ、国民生活の不安も、雇用や社会保障の問題も解決しません。

6.  もちろん国民は、悪政に黙っていません。怒っています。そして、起ちあがっています。
 75歳以上の高齢者を差別する「後期高齢者医療制度」の問題では、国民的な批判で麻生新内閣が「見直し」を表明せざるを得ない状況に追い込んでいます。燃料問題では、漁民が全国的な一斉休業を決行したのにつづき、トラック事業者もトラックデモや集会で決起し、さらに農民も起ちあがっています。これまで、保守の基盤だった農漁民や商工業者、中小企業の経営者が、悪政を正すために“一揆”を起こしているのです。

 まさに、組織された労働者・労働組合の真価が問われています。国民諸階層のそれぞれの闘いを国民的な共同に大きく束ねる役割を発揮するのが労働組合であり、ナショナルセンターの任務です。そういう意味では、全労連が「危機突破闘争本部」を設置して“なくせ貧困、生活危機突破”の行動に力点をおいていることは、時宜にかなった提起です。この秋から、来春闘にかけて取り組まれる国民的共同に、中央・地域から積極的に参加するよう強調したいと思います。

7.  衆議院解散・総選挙は、目前に迫っています。選挙は国民が主権者としての権利を行使する、もっとも大切な機会です。総選挙では、「政権選択」のまやかしに惑わされないで、大企業・アメリカ言いなりの政治から、国民の目線にたった「政治の中身」をすすめる候補者や政治勢力の前進に向け奮闘しましょう。

8.  交通運輸でも、規制緩和・市場経済一辺倒の政府の政策を見直させ、政府に「タクシーの運転者登録制の導入や参入規制の再強化」「トラックの長時間労働の防止や軽油価格高騰にたいする緊急措置、発注者の下請単価切り下げの監視強化」を出させるなど、交運共闘の仲間が現場の実態を告発し、社会的問題として発展させるなかで、“行過ぎた規制緩和のユガミを是正”させる流れをつくっています。

9.  港湾でも、能代運輸の新規参入にたいする全国的なストライキ行動をつうじて、異事業からの新たな新規参入をけん制する力になっています。
 しかし、経済産業省は、9月9日発表の日本経済を成長させるための指針となる「新経済成長戦略」で、“スーパー中枢港湾の主要ターミナルにおける24時間オープンの実現”“港湾手続きの統一化・簡素化等貿易手続改革プログラムの着実な実施”“アジアワイドのシームレス(継ぎ目のない)な物流圏の構築をめざすための施策”を打ち出しています。
 
 一方、国交省も、09年度の創設をめざす「港湾物流総合改革事業費」(仮称)について、財界・業界のニーズに沿った港湾機能の底上げをはかるとして、“ターミナルの24時間オープン化・インランドデポ活用によるコンテナ輸送の効率化”の制度化に全力をつくすと表明しています。
 このように、港湾の機能や稼動について、引き続き国家が介入し、貨物の港湾素通り化による港湾労働者の職域をも狭めようとしています。

10.  全国港湾は、一企業・一業種では対応できないような大きな問題に直面し、これと対決するために、全国港湾の「連合体」化を提起しています。全国港湾は、これまで協議体であっても、産別団交権を確立し、産別協定を締結するなど連合体並の運動と機能を果たしてきました。対外的には、「協議体」から「連合体」にすることによって、港湾労働者が組織を一本化して社会的な影響力を発揮することを狙ったものであります。

 さらに海員組合と港湾労働者の共同した運動も、国際連帯活動としての「FOC・POCキャンペーン」からさらに発展させて、政策課題についても共同して取り組む組織体を目指し、海員組合・全国港湾・港運同盟の3者で「協議体」結成にむけた準備会を発足し、具体的な協議をすすめています。
 検数労連としても、今大会で全国港湾の連合体化への参加を批准し、来週、開催される全国港湾の定期大会を歴史的大会として成功させたいと思います。

11.  さて検数職種の問題です。コンテナ化と情報通信技術の進歩により、検数業域は構造的な縮小傾向にあります。その上に規制緩和が覆いかぶさり、さらに追い討ちをかけて、この12月からの公益法人の見直しが実施され、法律によって保護されていた検数事業は全面的な市場経済に放り出されることになります。

 私たちは、全国港湾の検数検定部会と連携して、両協会にたいする「雇用と労働条件の継承」を柱に「労使協議」を申し入れます。しかし、なんと言っても大事なことは、検数の仕事がユーザーから評価され、選択されるサービスを提供できるかどうかにかかっています。
 どういう事態にも対処できる職場からの体制づくりとして、地域・職場から、“仕事の見直し”を労使の垣根を越えて議論する場をつくっていく必要があります。その運動を通じて、役職者の姿勢や経営の姿勢を正していかなければなりません。また、自らの働き方についも真摯に見つめなおす必要があります。

12.  同時に、検数職場でも、多様な雇用関係、異なる労働条件の労働者が混在して作業を遂行しています。労働者は、雇用と生活が安定しないと仕事に意欲が湧かないし、有能な労働力の確保もできません。ひいては、ユーザーに選択される業務の提供もできなくなり、企業として衰退していくことになります。
未組織の組織化をスローガンとして掲げるだけでなく、具体的な「目標と計画」を立て、最重点課題としてすすめましょう。

 全検では、B職員を対象にした要求の掘り起こしと組織化を重視して取り組んでください。
 日検では、新入職員の組織化はすすんでいるようですが、さらに、東京・横浜・名古屋・九州で指定事業体の労働者の組織化を重点課題として取り組んでください。
13.  検数労連は、ナショナルセンターである全労連、交通運輸産業の交運共闘、港湾産別の全国港湾、それぞれの一翼を担っている職能別組合です。検数労連の諸先輩たちは、こうした闘う仲間のそれぞれの部隊に身をおいて闘いをすすめてきました、この戦闘的伝統を引き継ぎ、さらに、社会的問題になっている「貧困と格差」の解消と非正規労働者の組織化について、検数職場でも重点課題として奮闘することをお互いに誓い合う大会にするよう訴えて、挨拶とします。
                                        以 上






大 会 宣 言



  昨年の安倍首相に引き続き福田首相が突然政権を投げ出し辞任した。国民生活に責任を持たない自公政権に国民の批判が高まっている。
  麻生新政権は、自・公政治の破綻をカモフラージュして解散総選挙を10月後半か11月初旬に行うといわれている。
  いま、わたしたちの生活環境は、石油類の高騰による物価高で生活費におおきな圧迫を受け、さらに、アメリカのサブプライムローン問題に端を発したアメリカ経済の混乱は、世界経済に大きな影響を与え、世界的な同時不況へ発展させている。
 わたしたち労働者・国民は、これ以上の生活への負担増に耐える力はなく、こんな政治を続ける現在の自民・公明連立体制を政権から引きずりおろすことが必要である。
  来る衆議院選挙においては、誰が労働者・国民の生活をまもるために働いてくれるのか見極めた判断が求められている。一票の権利を行使して国民の生活に目線をおいた政治に変革させるよう取り組みを強めよう。

  港湾においては、規制緩和・24時間オープンなど港湾の構造改革が推進されるなか、違法派遣の撲滅・アスベスト問題の前進と整理、さらに「正月ぐらいは休ませろ」の要求が強くなっている。
全国港湾は、設立当初からの念願であった「連合化」に、この10月に踏み切る。われわれ検数労連は、連合化に賛成し、さらなる全国港湾の団結強化と組織の拡大に努めることを確認した。

 検数業界を取り巻く環境も、規制緩和による料金の見直しやチェック機能の形骸化など、職場を取り巻く情勢にたいして、ひとつひとつ解決が求められている。
 さらに、この12月から実施される公益法人改革による見直し問題は、われわれ検数労働者にとって大きな問題となる。「ひとりの首切りも認めず」「労働条件の改悪をゆるさず」「労使の真摯な協議」が求められている。この改革を「プラスに生かす」議論を、労使間と同時に労組内ですすめる。
また、団塊世代の大量退職は、退職金の捻出問題とともに、業務継承にも力を入れることが必要である。組織内には、退職にともなう組合員の減少がすすんでおり、今後、組合員拡大に、組織をあげて取り組むことが重要課題との確認を本定期大会で行った。

  検数労連の運動の基本である職場を基礎に、民主的な運営で、産別を軸に、国民的な運動も積極的に連帯した取り組みをすすめることを、ここに宣言する。

                                         2008年10月1日
                          全国検数労働組合連合第40回定期大会